台湾有事が発生した場合に想定される日本が受ける被害とは

台湾有事が現実のものとなった場合、どのような被害が発生するのか。新聞報道をもとに被害想定をまとめます。

台湾有事による被害想定

笹川平和財団による試算

2023年2月23日の日本経済新聞に掲載された、笹川平和財団による試算です。2026年に中国軍が台湾上陸を試みるという想定の試算です。

死傷者艦船航空機
自衛隊2500人15隻144機
米軍10700人19隻400機
台湾軍13000人18隻200機
中国軍40000人以上156隻252機

この想定では戦闘は2週間あまりで収束し、中国による台湾の軍事制圧は避けられるという結果になったとのことですが、日本国内にある基地も攻撃を受けることで民間人を含めた死傷者が発生するとされています。

数字を見てもイメージがしづらい部分があるかと思いますが、例えば自衛隊員(常備自衛官)の数は14.8万人とされているので、2500人が死傷する想定は自衛隊員の1.69%が被害を受けることになります。また台湾軍の総兵力(16.9万人)に対し7.69%が死傷する想定です。

戦略国際問題研究所による試算

米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)による机上演習です。東京新聞CNNに掲載されていた数字をまとめます。2026年に中国軍が台湾に侵攻したことを想定して行われたものです。

  • 中国軍:死傷者は2万2000人
  • 米軍:2隻の原子力空母と最大20隻の艦船が撃沈される
  • 米軍:最大372機の航空機を失う
  • 米軍:最大1万人の死傷者
  • 台湾軍:死傷者は3500人
  • 台湾軍:艦船が26隻撃沈
  • 自衛隊:112機の航空機と26隻の艦船を失う

試算では24通りのシナリオが用意され、ほとんどの場合で、中国の台湾制圧が「失敗する」と結論づけられていますが甚大な被害が発生することが想定されています。

万が一起きた場合の被害は「甚大」

起こさせないことが大事

この記事で詳しく解説したとおり、台湾有事が現実のものとなった場合に日本が受ける被害は甚大なものです。台湾有事を起こさせないための努力を続けていく必要があります。民間レベルでも、有事にしっかりと備えることで非軍事的な「抑止力」を高め、有事の発生リスクを少しでも低減する努力を行うべきであると考えます。